科楽な豆知識Science Trivia
サティスタHP「科学な雑学」は、2023年2月1日より はかせラボ「科楽な豆知識」としてリニューアルいたしました。
2023.02.01
アゲハとミカン
ナミアゲハの幼虫はミカン科の葉を食草とするため、成虫はミカン科の葉に産卵します。
自然界にはたくさんの植物がありますが、その中からどのようにしてミカン科の植物を探しているのでしょうか?
九州大学とJT生命誌研究館の研究チームによると、ナミアゲハのメスは前足の感覚毛を使い、幼虫が食べることのできる植物を見つけているそうです。 アゲハの感覚毛の根元にある神経細胞では約1万種類の遺伝子がはたらいています。
たくさんの遺伝子のうち、植物に含まれる成分を感じ取ると思われる遺伝子を見つけたということです。 この遺伝子はミカン科の植物の葉に含まれる「シネフリン」に触れることで、細胞内に変化が起きます。
そこでシネフリンを塗った人工の葉を用意し、ナミアゲハを放す実験をしたところ、自然のままのナミアゲハは70%が産卵し、遺伝子のはたらきをなくしたナミアゲハは約20%しか産卵しなかったのです。このことから、ナミアゲハのメスはシネフリンを前足で見つけ、そこに産卵するという仕組みがわかったのです。
ナミアゲハ以外にも同じ特徴を持ったこん虫はたくさんいると考えられています。この研究が進むことで、こん虫に食べられない野菜や果物を作ることができるかもしれません。